リーグ・オブ・レジェンドの定番魔力アイテムの1つ「シャドウフレイム」。高いAPと魔法防御貫通が魅力のアイテムで、ダメージを伸ばすのにもってこいだ。メイジであれば2手目に買うことも珍しくない。
しかし、この魔法防御貫通はどれほど効果的なのかを計算してみると、実は過剰な性能となってしまっている可能性が浮かび上がる。本記事ではそんなシャドウフレイムの危険性に警鐘を鳴らしていきたい。

※本記事はシーズン13に執筆されたものであり、現在のシーズン14とは異なっている部分がある。ミシックアイテムが無くなったため以前ほど過剰になりにくくなったが、シャドウフレイムとストームサージをどちらも購入する場合などは一度計算してみよう。
そもそもLoLのチャンピオンの魔法防御は低い
実はLoLのチャンピオンの魔法防御は低い。多くの遠距離チャンピオンは一律で「30+毎レベルごとに1.3」の魔法防御しか持っておらず、アイテムやルーンが無ければ18レベでも52.1しかない。

それに対し、一般的なメイジのビルドとして発生しうる「ソーサラーシューズ+ルーデン+シャドウフレイム」の組み合わせはその時点でソーサラーが18、ルーデンが6+5、シャドウフレイムが最低10と合計39もの魔法防御貫通がある。ここにもしヴォイドスタッフが加わるのなら貫通が余ってしまう。
以上が本記事の中心となるポイント。もし相手のメイジやADCがMRアイテムを買わないのであれば、こちらもアイテムの買い方を検討したい。
詳しくは割愛するが、LoLの防御/魔法防御は積めば積むほど効果が薄くなっていく仕組み。逆に言えば防御が低い相手には固定値貫通が大いに有効で、高すぎる相手にはあまり意味がないということでもある。相手のキャリーに対しては、防御が0になるように貫通を高めていくのがダメージを最大化する秘訣だ。かといってマイナスまで行っても逆にダメージが増加することはなく無駄になってしまうのでそれは避けたい。
相手がMRを積まなくてもヴォイドで貫通が足りる
「シャドウフレイムは固定値だから柔らかい相手に、ヴォイドは割合だから硬い相手に積めばいいんじゃないの?」という考え方は正しい。

しかし、そもそもヴォイドスタッフの40%貫通は、相手チームで最も柔らかいであろうADC相手にすらシャドウフレイムと同程度の効力がある。
もしソーサラー、ルーデン、ヴォイドを買えばそれだけで29+40%の貫通がある。そこからルーデンのミシック効果で+5ずつ上がっていくことも考えると、MRを買わない相手にはそれだけで過剰になってしまう。であれば、シャドウフレイムよりホライゾンフォーカス等を採用した方が無駄がないというわけだ。
ただし、シャドウフレイムは高いAPと共にHPも付いてくるのに対し、ヴォイドはわずか65APしか得られない。実際の試合で2コア目のシャドウフレイムをヴォイドに置き換えるのがベストとは言えないだろう。これはあくまでレイトゲームを見据えた総合的なビルドの考え方だ。
またAPの差はダメージ以外にも影響する。例えばオリアナやラックスなどはシールド量がAPで増えるし、ダイアナWなどはHPも乗る。2コア目のシャドウフレイムをヴォイドに置き換えると、これらのスキルの効果量に響いてくることは覚えておこう。

アイテムの買い方を変えてみるとどうなる?
さて、貫通が足りると言ってもそれはあくまで「ソーサラー+ルーデンorロケットベルト」での話だ。全てのメイジがこの黄金セットを買うわけではない。例えばサイラスなんかはエバーフロスト+アイオニアが主流だし、ライアンドリーを選ぶチャンピオンも多い。全ては時のパッチ次第だ。アイテムの性能はよく変更されてはしまうが、現パッチ(シーズン13の終わりごろ)を基準に複数のビルドパターンを考えていきたい。

・ソーサラー+ライアンドリー
シンプルにルーデン分が無くなるので足りなくなる。相手の魔法防御が30ならソーサラーとヴォイドでピッタリ。
相手のレベルが上がっても10程度足りないだけなのでモレロノミコンも良い選択肢になるが、相手のミッドメイジはルーンシャードでMRを積んできている可能性もあるので、それも考慮するとシャドウフレイムを買うのが良いだろう。またまた相手のサポートがソラリを作っている場合は奉献があるので、ADCに対してもシャドウフレイムの方が良さそうだ。
・ソーサラー以外の靴+ルーデン
ルーデン+シャドウフレイム+ヴォイド時点でシャドウフレイムが最低値の10でもMR43程度までは貫通しきれる。相手のレベルアップやシャードを考慮しても、こちらのコアが増えればルーデンで+5ずつされるので対応可能だ。そのためモレロノミコンでも問題ないが、とはいえこれ以上コアが出る試合も多くないし、相手のシャードや奉献も想定するならシャドウフレイムの方がベターだろう。
・ヴォイドを買わない
ソーサラー+ルーデン+シャドウフレイムで最低39、最大49も貫通が手に入るので、そもそも対ADCとしてはおおよそ足りている。とはいえ、ルーンでMRを積んだ対面メイジや、タンク、ファイターのことも考えるとフルビルドでもヴォイドを買わないという選択が最適になる試合はかなり少ないはずだ。
・相手がMRを積んでくるなら両方買えば良い
チャンピオンのMRが低いとはいえ、それはあくまで基礎ステータスの話。もし相手がMRアイテムを買ってくるのであれば貫通は無駄になりにくい。
MRアイテムの最小単位はヌルマジックマントの25だ。ここに30を足したら55だが、そもそも相手がレベル1なことはありえないので30ということはないし、ミッドの対面ならルーンシャードもMRを積んでいるはずなので、もし対面のメイジがレーン戦でマーキュリーを履いていたら、その時には70程度のMRがあると考えて良い。実際のケースとして、例えばこちらのジャングルミッドがどちらもAPだったり、自分が強力なCC持ちのメイジであればこれが発生しうるはずだ。
70のMRを貫通しようとするとまずヴォイドで40%、ソーサラーで18、ルーデンで6+5xアイテム数。この時点で57でそこにシャドウフレイムを足してもそれほど無駄は出ない。バンシーやマルモティウス、サッシュあたりの存在も考慮するとシャドウフレイムの必要性はさらに高まってくる。
記事中で取り上げていない細かな部分とシーズン14における考察

記事中で取り上げていないいくつかの要素としては
・自分のサドンインパクト
・相手のシールドバッシュ
・相手の心身調整
・味方のアビサルマスク
などが挙げられる。サドンインパクトはミッドメイジでは珍しいが、ジャングルのアサシンがよく採用している。心身調整はタンク向けだが、時折エンチャンターが所持していてADCより少しだけ硬いケースがある。

シーズン14ではミシック効果が無くなったが、ソーサラー+ストームサージ+シャドウフレイムで40の貫通が得られるので、柔らかい相手には余る可能性がある。パッチ14.2ではルーンシャードが改変され、全体的にやや防御が低くなった。
他には待望のヴォイド系列アイテム「クリプトブルーム」が登場したが、これはヴォイドスタッフとは貫通量が違うのが興味深いところ。また新アイテム「マリグナンス」も固定値で低下させる効果が付属しているため、Ult始動のチャンピオンはこちらも計算しておこう。