前回のレビューではゲーム全体についての所感を述べたが、本記事ではやり込んで見えてくるゲーム性の部分に絞った感想を書いていく。
身内向けマルチプレイのしやすさ
筆者は友人と一緒にゲームをプレイすることが多いので、マルチプレイの快適さは重要なポイントだ。以前のレビューでも書いた通り、マルチプレイにおける不具合は散見しているが、それを差し引いても高評価を付けられるほどには利便性が高い。
上げていくとキリがないが、例えばセッション作成時にオートパーティ機能をオンにしておけば自動でパーティを組んでくれるので、いちいちパーティを組む煩わしさが無いのはまず高評価。大抵のゲームは接続後にいちいちパーティを組む必要がある。また、人数による難易度変化も自動的で対応してくれるため、途中抜け/参加が非常にしやすい。
Grim Dawnは一度倒した敵がセッションを再生成するまでリポップしないというシステムなので、特定のMOBからドロップを狙う時はソロで何度もセッションを作り直す必要がある。そのため「俺この素材欲しいからちょっとソロで周回してくるわ」と言った途中抜けが発生しやすいが、再度戻ってくる時にいちいちパーティを組む手間が掛からないのはゲームシステムを上手くカバーしている。
その他、ポータル生成によるテレポートも使い勝手が良く、セッション参加後「ポータルください」の一言で友人が戦闘中の場所までひとっ飛びなのはテンポが良い。開拓されていないマップでも飛ばしてもらうことが出来たりもする。また、アイテム交換も地面に落とすだけでやり取り出来るが、トレードシステムも存在するのは作りが丁寧だと言わざるを得ない。
戦闘面では、バフスキルがトグル式のオーラ系(キャラクターから半径何m以内のユニットに常時防御アップ等)なのが非常に快適。スキルキーを押してトグルオンにしておけば掛け直す手間がなく、MMO等でありがちな、「味方が合流した時に掛け直す」といった行為が必要ない。もちろん、範囲オーラの都合上常にくっついていなければならないというデメリットもあるが、筆者としてはこちらのシステムの方が使いやすく感じた。
ボリューミーだが患わしさは少ない
ゲームとしてはとりあえずノーマル難易度をクリアして、エリート、アルティメットと難易度を上げながら周回するというのが大まかな流れだが、一度クリアした難易度は2キャラ目以降は簡単にクリア済み扱いにすることが出来るようになっている。複数キャラで様々なビルドを組むのが面白いゲームなので、そのために出来る限り煩わしさを取っ払おうとしているな、と感じる。
ゲーム開始時はマスタリーやアイテムでアクティブスキルが増えていくかと思えたが、マスタリースキルの後ろの方は手前のスキルを強化するというものが多く、押すキーが増えないのは好印象。また、多くのビルドが”特定スキルを強化してそれを連打する”といったものになりがちで、MMO的な”CDの長い大量のスキルを使い分ける”タイプの操作性になりにくい。大抵は1~0の数字キーにメインスキル類、Yで切り替えられる裏パレットに最初に掛けるバフ、といった形に収まるはずだ。星座システムによる追加スキルも、通常スキルにアサインして自動発動する追加効果というシステムを取っており、出来る限り操作が煩雑にならないよう心がけられているのは間違いない。
惜しいな、と思った点の一つとして、何からでもドロップする設定になっているアイテムが多すぎるという物がある。特定のユニークな装備を除けば、結局エンドコンテンツであるシャッタードレルムを周回する……となりがち。とはいえクラフト素材やMI品、また悪評稼ぎ等で特定のエリアで狩りを続けることはあるので、この程度が良い塩梅なのかもしれないが。
Grim Dawnは絶賛Steamサマーセール中。以前にも書いた通りしょっちゅうセールの来る作品なので急いで買う必要はないが、80%オフの本体だけでも本作の面白い部分を十分に楽しめる。未プレイの友人を誘って遊ぶのにいかがだろうか。