Fakerが今年のWorldsに出場しない。
Fakerという選手について、紹介が必要だろうか。念のため軽く紹介をしておこう。
League of Legendsというゲームにおいて最も偉大なプレイヤーであり続けてきたことに疑いようもない、歴史と実力のある選手だった。
2013年、2014年、2016年と3度の世界大会の優勝を遂げ、2017年には決勝で敗れたものの、2位に。2019年でもベスト4に残る成績を残した選手だ。
(こんな汚らしい画面のときから、Fakerは強かった。)
そんな選手が、Worldsに出場すらできなかったというと大事件だ。
Faker
プロフィール
名前: イ・サンヒョク 이상혁
出身国:韓国
誕生日:1996年5月7日(24歳)
チーム:T1
契約期間: 2021-11-15
役割: ミッドレーナー
好きなチャンプ:Zed,LeBlanc,Ahri,Azir,Ryze
2020 World Championship
WCS(World Championship)への出場権は、各地域のリーグ毎に決まっている。元々は主要地域が3枠ずつというルールだったが、今年からは前年などの活躍で枠が変動するようになった。
LPL(中国)は18,19年と優勝した成果から4枠に。LEC(EU)も春の世界大会MSI(Mid-Season Invitational)の1度の優勝と、18,19年のWCS決勝で3-0で敗れた成果から4枠に。LCK(韓国)は13~17年も優勝し続け、一強を築いたペナルティでずっと3枠である。LCS(NA)も3枠である。
主要地域の次に、そこそこ強い地域としてRiot様に認められたのが、VCS(ベトナム)とPCS(東南アジア)である。PCSは、元々はLMS(台湾、マカオ、香港)地域だったのが東南アジアと統合された。今年のWorldsはVCSがコロナ関係で出場できない。
そして最後に、発展途上だから1枠しか与えず、厳しい予選を課される地域たち、我らがLJL(日本)や、その永遠のライバルCBLOL(ブラジル)、宿敵LCL(CIS)、LLA(ラテンアメリカ)、OPL(オセアニア)、TCL(トルコ)である。
LCK 2020
当のLCKのWorlds出場権は、Championshipポイント制である。春と夏の順位にポイントが付いており、夏の優勝チームと、春夏合計のポイント上位1チームが確定で出場権を得られる。
出場が決定したLCK teamは下記の通り
出場権 | チーム名 |
---|---|
LCK Summer チャンピオン | DAMWON Gaming |
LCK チャンピオンシップポイント 1位 | DRX |
LCK Regional Final | Gen.G |
第3シードは春夏合計の上位4チームから、Regional Finalという戦いで決定される。T1が戦って敗れたのはこの戦いである。
GEN vs T1 Highlights
あなたはどのように、この選手の夏の終わりを知っただろうか。
LoLをプレイしている片手間の雑談で、あるいはTwitterのトレンドで。あるいは、拳を握りしめてT1のプレイに一喜一憂したあとで。あるいは、ふとWCSの話題になって出場チームを確認してから。
悲しかったのは「SKTがWorlds出ないの?」程度の関心にまで、T1への関心が下がっていたことである。LPLが最強だとか、G2が最強だとか、DAMWONが最強だとか、激しく衝突するチームたちの名前が挙がり、もうLCKが決勝の舞台に立たなくなって2年が経つ。
2017年、SKTが決勝の舞台でSSGに敗れた。
2018年、SKTは下位まで沈み、決勝の舞台にはiGとFNCが立った。
2019年、SKTは準決勝でG2 e-sportsに敗れ、FPXが王座を手にした。
戦わないマクロの時代は終わり、圧倒的な技術で勝利を収める形が増えた。決勝では、LPLが二年連続でLECを3-0で完封している。
もう、Fakerの時代は終わったのかもしれない。2017年にRulerの「穢れの連鎖」で捕まったときに、既に、ひとつの時代が終わっていたのかもしれない。
それでも、未だにFakerを目で追ってしまうのは、僕が「Faker世代」だからだろうか。
「こいつが世界一なのか」と初めて見た冴えないメガネブロッコリーは、プレイでその印象をひっくり返し、こんな文章を書くくらいに僕の心に衝撃を与えた。
そんな選手が、涙を流す場所もなく儚く散っていくことに、どうしようもない虚しさがこみ上げてくる。
Worldsとは、ドラマが生まれる場所だ。
24のチームが戦い、23のチームが散る。各地域を背負い、人生を賭けたプロプレイヤーが戦う場所に、生まれないドラマはない。そんな場所に、Fakerがいないのだ。これから開催される世界大会の、どこにもいない。
2020 Regional Qualifiers Finals – Game 03 vs GEN
이번 선발전 끝까지 최선을 다했으나 여기서 마무리하게 되었습니다. 끝까지 응원해주신 팬분들께 감사드립니다.
We’ve tried hard, but our Summer ends here. Thank you fans for supporting us this journey.#T1WIN #T1Fighting pic.twitter.com/P7jP6oO2cJ
— T1 LoL (@T1LoL) September 9, 2020
頑張ってきましたが、私たちの夏はここで終わります。応援してくれたファンの皆さん、ありがとうございました。
[2020 LOL Worlds Regional Qualifiers]
We gave it our best, though our road to Worlds came to an end. 2020 had its ups and downs but we’ll come back as we always do. Thank you for being with us for every step we made.#T1WIN #T1Fighting pic.twitter.com/u95MKPxHoE
— T1 LoL (@T1LoL) September 10, 2020
世界選手権への道は終わりましたが、ベストを尽くしました。2020年は浮き沈みがありましたが、いつものように戻ってきます。一歩一歩を共にしてくれてありがとう。
彼らが敗北したあとに、上記の内容をツイッターに投稿した。僕はこれを見てより一層、彼が紡ぐドラマを見ていたいと感じた。大舞台で彼の姿が見たかったんだ。
Fakerがまた、世界の決勝戦に立つ日を待っています。
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